今私は、風の丘美術館内に入ると正面に机をおいて、そこで絵を描いたり文を書いたり入館されたお客様を笑顔で迎えられる一番いい場に席をとっている。
物事はいい方にとると、これは地震のおかげであり、後ろのガラス張りの小屋には小鳥達がいて何十羽と私の背中でお客様をいっしょに歓迎してくれるのである。
これもコロナのせい、いやおかげなのである。お客様が少なくなった時の一つのヒラメキがこれだ。にぎやかそして可愛いのが好きな私は小鳥を飼うことにしたのである。
犬好きな人、猫が一番と言う人、はたまたメダカ、カエルと私の知り合いにもいっぱいいらっしゃるがもうみんな家族同様の扱い いないなんて考えられない存在。
私の方も、朝早めに家を出ていそいそと美術館通いをしているのである。
おはよう と声をかけると四十数羽いる小鳥達は一番そばの小枝に並んで止まりチュンチュン ピーピーと鳴きながらぴょこんと挨拶するのである。中には小さい目でウインクしたり羽を広げたりして、待ってましたと会釈して迎えてくれるのである。
思えば若い頃から私は 「あなたがいないと死んじゃう」 そんな事言ってくれる人が現れないかとひそかに胸の中に思い待ちこがれてここまでやってきたが 一度もそんなこと聞いたことがなかったな。と苦笑している。
ところがところが 人生は面白い。
ここに来て 「あなたがいないと生きていけない。死んじゃう」 と想ってくれる人 いや、動物。げんみつにいえば、小鳥さんがいるのである。
小鳥の種類によって違うエサをいくつも買いこみ 鼻歌まじりに ホラ、ご飯だよ ハイ、水ですよ 水浴び、どうぞ と声をかけながら 死んじゃうくらい待ってくれてる鳥の世話をしている。
その愛がこうじて ついに絵を描き 今周囲には鳥さんの可愛い絵が私の作品として飾られている。またひとつささやかな幸せを見つけ喜んでいる。
雨が降ろうが風が吹こうが待ってくれてる人がいる。
だからいきいき にこにこと この一日を楽しんでいる。小さな幸せ探し。
この一年もその思いを大切にしたいものだ。
これこそ勝彦流
そしてやまびこの心であり思いを共有できるみなさんとその喜びを語り合いながら楽しい日暮らしをしたいと思っている。
館長 大野勝彦