この春「お前命で」という演歌が出来た
1、つまづき転んで傷ついて何も出来ないこの俺を
陰で支えてくれる奴 涙かくして笑う奴
ありがとう お前命で お前命で
生きていく
2、幕が上がれば晴れ舞台 汗と涙が頬つたう
人にかくれて手をたたき そっと祈ってくれる奴
ありがとう 二人命で永久によりそい
生きていく
あの日からこの歌が出来るまで二十三年の歳月が流れていた
大切な両手をなくしてどうして生きていくのか
何も出来ないだろうな、人に迷惑をかけるだろうな
そんな男が人並み以上に人生を楽しんでいる。笑いながら風の丘美術館でお客様に囲まれていられるのはやっぱりこの歌の詩のように陰で支えてくれる奴がいたからである。
関島秀樹さんが作詞し玄海竜二さんが唄い踊ってくれた時感極まって涙が止まらなかった、特に出会いの中で玄海さんの人柄とお芝居に魅せられ機会あるごとにご一緒させてもらっているのは玄海さんを陰で支えている章江奥様の姿と自分達がダブって見えるからである。「いい男のそばにいい女あり」正にそれである
舞台に上がるには妻が親が子供が一番のファンでなくてはならないのである、人前で名前を張って生きているいじょう人並みの幸せはやれないかも知れないがその分熱く燃えてお役に立つお仕事をせねばと思う、ありがとうが目の前で言えない分をこの歌唄いながらいきたいものだ。
ありがとうお前命で生きていく玄海さんも頷きながら本気で唄っている
まだの人はCD美術館にありますから聞いてください。
美術館と演歌、場違いのようだけどこれがなんとも言えない愛の表現として来館者の方々に受け入れられているから嬉しい。
2011年8月4日 大野勝彦
奇跡は起きないから奇跡であり、何度もその現場にいた等というのはちょっとおかしいのである。
突然の事故で両手を失い、なにげなく生きる。
言い換えれば、何事もなかったように生きる。
それが私の思う格好良さであり、それになんとか近づきたいと心燃やしてきた。
何度も壁にぶつかり負けそうになりながらも、次の日は「ネバーギブアップ。もう一度、一から挑戦させてください。」と、手を合わせた。
物をつかむ事、食べる事、全て人の手を借りる中、前を向いてこれたのは、小さな子供が初めて自転車乗りに挑戦するのと同じで、転びながら、転びながらもフラフラと少しずつ乗れるようになり、いつかスイスイ擦りむいた膝の痛さ忘れて「やった!出来た!」の喜びを味わっているからである。
病院のベッドの上、他の人への伝達法で困った時があった。四十五歳の男が大声は出せないし、ましてこの身体で身振り手振りなど出来る筈もなかった。
目は口ほどに物を言う、そんな言葉を思い出し、そばにいる人に信号を送るのだがキャッチしてくれる人はいなかった。もっとメリハリをつけなければと看護婦さんに目で合図をしていたら「気持ち悪い」「イヤラシイ」と勘違いして叱られた。
大好きな人の瞳。大切な人の瞳を見る愛(アイ)がなければ口ほどに物は言わないのであった。
でもその八方塞がりが私の人生に大きな転機となり出発点となった。それが『思いの世界』であった。思う、強く思う、念じる------それが出来るのではないかと気付いたのである。これは自己満足の世界のように見えるけど、他に選択肢がない。私には、必死も必死、命がけで思うようにして、その日からボケッとしている日がなくなった。
過去を振り返り出来なくなったことを数える自分が姿を消した。ベッドに縛られ身動き出来ない中、なんとか一人で水が飲めますように、寝返りが出来ますように、腕の痛みがとれますように、なんとも自分のことばかりで申し訳ないが、それが現実であった。それが叶うと、看護婦さんが笑顔でありますように、笑顔でありますように、見舞って下さったご家族が幸せでありますように、幸せでありますように------他人の幸せを祈るようになった。
そしてその思いが強ければ強い程、自分にその矛先が向いてきたのである。
「よし!今日誰か来られたら、私は最高の笑顔でいよう、笑っていよう、話は聞く方に回ろう。」
祈りの中からいつか動き出した自分がいた。そんな日の中で奇跡を感じた。あれだけ夢見て望んでいたことが全て叶っているのである。
「伝えたい人がそばに来てくれないから伝えられない」でも諦めなかった。毎日、毎日、思い祈ったのである。
「ここに来ていただけますように、いつでもいいからもう一度来ていただけますように!素直な私が待ってますから。」そこまで来ると、夢にも出て来るようになってくる。そうなると益々思いが強くなる。そしてニコッと部屋に逢いに来て下さるのである。「やった!ありがとうございます。」最高の笑顔で迎えている自分がいる。
ただこのことを他人に公言するといぶかしがられることが多い。でもこれは私達、人の持つ最大の能力と知った。何かやるのに人に相談するな!やめたいのなら多くの人に相談し、止めてもらえ!夢見る勇気を持て、一人夢を見て叶った時のシーンを思いニコニコ、ニコニコ、それが一番である。
それがいつか、やまびこ塾になり、講演会になり、風の丘美術館の物語になったと奇跡が起きた形に確かに花開いている。良かった。これで良かった。なに不自由ない時を過ごしていたらこの喜びはなかったのである。嬉しいのは私の中から人の噂話が消えた。いつもキラキラ少年の目をしている自分を感じる。
今ここ風の丘にはさわやかな風が吹いている。
なにごともなかったように............感謝!
